[対談] マチオモイ帖、はじまりのものがたり。

日本全国のマチオモイ帖

堂野= 東京ミッドタウン デザインハブでの『my home town わたしのマチオモイ帖』は、あたたかい展覧会になりましたね。おかげさまで平日でも200~300人、土日は500~600人のお客さんが足を運んでくださいました。17日間で7,400人を超える来場者数。これは、デザインハブの展覧会の中でも好成績だそうですよ。

築山= やさしいマチオモイの空気が流れていましたよね。展示会場のレイアウトデザインも試行錯誤しましたもんね、廣瀬さん!

廣瀬= はい。勉強させられることばかりで(笑)。最初、関西からミッドタウンに行くんだから下手なものは見せられない!!といろいろデザイン案を提案していったんですがなかなかOKがもらえなかった。後になって理解できたんですが、僕ひとり「マチオモイ帖」が本来大切にするべき温度感についていけてなかったんですね。清水さんにもいろんなアドバイスをいただいて、最終的に、木のぬくもりが感じられるテーブルや布の素材感を活かしたスペック類など、マチオモイ帖の温度に近づけることができたという感じです。

村上= みんなが手探りでしたからね。廣瀬さんは裏方に徹してくださり、ものすごく動いてくださいました。まあ、委員会で一番年下だったから、仕方ないか!(笑)

廣瀬= はい(笑)。でもねえ、みなさんから届いた作品をチェックしながらも、正直、悔しかったんです。「オレも創りたい~~!」って。僕には青森の血が入っているので、そのルーツを訪ねてみたいんです。いつか絶対作りますから、続けていきましょうね。

村上= いいですねえ。そういうことが個人の中で自然に起こっていくのがいい。今回、45都道府県のほとんどから作品が出揃いましたね。

築山= 東北からの出展も数件ありました。震災でふるさとを失ったクリエイターの「マチオモイ帖」には胸に詰まるものが・・・。

村上= 『南三陸帖』を作ってくださった岩尾さんは会場でプレゼンもしてくださいました。私は、被災地の方と直接接する機会を持たないままきたのですが、彼女がプレゼンされながら流した涙や、その後の笑顔。それだけで、このプロジェクトを進めてきてよかったなあと感じました。

清水= 正直、1日にたくさん読めなかったんです。とにかく疲れる(笑)。当然、みなさんそれぞれの思いや記憶が一冊に詰まってい るからなんですけど、共振してしまっているのか、読んでる時間がね、普通に流れている時間と違う流れに引き込まれていくような感覚になっちゃいました。

築山= 色やカタチも全然違うし、オモイのある町も違う。いろんな方が、いろんな視点で手にとっていく姿は面白かったですね。朝から閉館時間までずっと読んで、また次の日に残りを読んでいった方もいました。人はまだこんなに本を読むんだという印象もあり、印刷業の私としては嬉しい気持ちにもなりましたね。

村上= 封じ込めていた過去に向き合うような作品もあり、その方のデリケートな内面に触れた気持ちになりました。知らない方なのに「マチオモイ帖」を通して、深くつながったような。

廣瀬= 映像作品については、2分間という枠の中、感性で訴えかけてくるもの、音楽で伝えてくるもの、ドキュメンタリータッチのものまで、さまざまな手法や視点、表現があってとても新鮮でした。それぞれのオモイを僕なりに感じています。

堂野= 大阪が全国のクリエイターを巻き込んでこんな展覧会をやるとは思わなかったという声も多かったです。いま橋下市長が国を揺るがす勢いで旗を振っているでしょう?大阪のクリエイターも底力を出していきたいですね。